番外編(川島雄三作品) NEW2016.10.12
『とんかつ大将』 川島雄三監督
1952年 松竹


松竹時代の川島映画の中で傑作と評価の高い1本。
原作は富田常雄、脚本は川島雄三、キャストは佐野周二、津島恵子、三井弘次、角梨枝子、坂本武など。
浅草と向島あたりを舞台とした人情喜劇。
松竹DVD倶楽部よりDVDは発売されている。下記参照
(下記では製作年度が1947年とクレジットされているが記述ミスだろう。2月公開なので前年の1951年か1952年だと思われる)

松竹DVD倶楽部HP


映画の冒頭、病院の院長・佐田真弓(津島恵子)を乗せた自動車が急ハンドルを切り、そのはずみで
ダルマ人形を載せたリアカーをひいていた太平(坂本武)のリアカーが転倒して、ダルマが散乱してしまう。
坂本武へのお詫びとして運転手に金を渡し、自分は後部座席から降りない津島恵子。
そこを偶然通りかかった、とんかつ大将こと荒木勇作(佐野周二)は津島恵子に向かって
「降りたまえ、一言あやまってきたまえ」と意見する。
佐野周二と津島恵子の出会いシーン。

ロケ場所は、隅田川の「吾妻橋」の横。橋を渡った墨田区側。
現在は写真の左側のすぐ横にアサヒビールの本社が建っている。
上の首都高速はもちろん映画撮影時(昭和27年)には無い。
画面写真の右側後方には、これも今はない「仁丹塔」が映っている。

   


 


佐野周二と親友のバイオリン艶歌師の吟月(三井弘次)が話をしながら歩く隅田川河畔。
そこに車で通りかかった津島恵子が降りて話をするが、佐野、三井の二人から拒絶される。
彼らの住む横丁の住民を立ち退かせ、そこに新病院を建設する計画があるからだ。

上の「吾妻橋」の一つ手前(隅田川の上流)の「言問橋」の上流から「言問橋」に向かって歩いている。
「言問橋」の少し手前からの対岸(台東区浅草)方向。
この辺の風景は当時の雰囲気が残っている。
右側に映っている「桜橋」は1985年に完成した、隅田川唯一の歩行者専門の橋。



「言問橋」。写真奥が「吾妻橋」方向。
画面写真(左)の右後方には現在はビルで見えない浅草松屋デパートの建物が映っている。

本作で佐野の相手役となる、津島恵子と飲み屋の若女将・菊江役の角梨枝子の二人は本当に綺麗で色っぽい。
1926年生まれの津島恵子は撮影当時25歳〜26歳。1928年の角梨枝子は23歳〜24歳である。
この年齢で何と大人の女の色気があるのかと驚かされる!
角梨枝子は成瀬映画『山の音』に出演しているが、津島恵子は成瀬映画に出演していない。
ちょい役でもいいから成瀬映画の津島恵子も観てみたかった。残念。



  


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